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タミのゆめ [外 伝[Gaiden]]

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 タミは、いつものように畑仕事に来ていました。小学校を卒業してからはずっと家の仕事を手伝って暮らしてきました。小学校と言っても田植えや稲刈りのときは時々休んでいました。
タミは今年、25歳に成っていました。二つ上のお姉さんと一つ下の妹は、とうに嫁いでいました。
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 今日は家族みんなで、じゃがいもの植えつけに来ていました。畑の南側には川が有り小高い土手で遮られていました。そして、畑の横を用水路が流れて川に注いでいました。
タミは、用水路で手を洗いながら、土手とは反対側にある家々が並んでいる集落の方に顔を向けました。タミ達は、喉が渇いたとき、時々近くの家の井戸水を飲ませてもらいにいくことが有りました。
一番近い井戸がある家の近くで、桶などを作って暮らしている竹職人の男が居ました。タミの父親と親戚たちが煮干しを干す時に使うセイロを毎年注文をしていました。その男は、タミと小学校が一緒で学年が2個上で、水を飲みに行ったとき言葉を交わすことも有りました。
 
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タミは、用水路に眼を戻して、遅い春の太陽を反射してゆっくりと流れる水を見ました。
冷たい水と水底の泥、揺れて流れる光・・・。キラキラした光の向こうに、若い男が見えました。若い男は、川の土手に座り遠くを見ていました。川の向こうには大きなビルがいくつも見えました。タミは東京なのかしらと、雑誌や映画でしか見たことがないのにそう思いました。
若い男は、川のきらめきを見ながら寂しそうな顔をしていました。その顔はタミの父にも似ているようで、また、桶を造っているあの小屋の男にも少し似ていました。
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頭の中の映像が消えると、タミはふと考えました。「わ(=私)は男の子を生むのかしら?」
タミは水に濡れた手を前掛けで拭くと、右手の第一関節が欠けた人指し指を見下ろしました。



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