第４章 中学校 エピソード１ 夕方、自転車で家出（その１）

コウは、中学校から帰ると自転車に乗り家出をしました。

　小学校の卒業前の謝恩会の時、校長先生の同席した前でクラスの全員が一人ずつ、中学生になったらどのような生活をするかを発表しました。コウは、「文武両道を目指す」と宣言しました。コウの将来の夢は、忍者になることでした。そのためには、勉強はもちろんのことスポーツも一所懸命に頑張る必要が有りました。

しかし、中学校に入学して一ヶ月もしないうちにコウは、忍者の様にはなれないと思いました。コウは、早生まれだったことも有り同級生と比べると一回り体が小さく見えました。ましてや上級生はずいぶんと大人のように見えました。

また、コウの学年はいつもの年より、ひとクラス多く編成されました。新しく出来た工業地帯の会社に転入してきた家族の子供たちがたくさんいたのです。しかも、その子たちはコウの周りの農家の子供達に比べるとずいぶん垢抜けていて、勉強も良くできました。コウは、勉強も運動も態度の強さも、おしゃべりも何一つ飛び抜けたものはありませんでした。「サスケ」の様にはとても成れそうもありませんでした。

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