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ツキ子の後悔(後 編) [外 伝[Gaiden]]

 ツキ子は、残った二匹のメス猫に名前をつけました。

 
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 数ヶ月後、ツキ子が会社に行っている間に、両親が親猫と2匹の子猫の避妊手術をしました。

ツキ子はショックを受けました。そして、知人たちにもらわれていったオス猫二匹は幸せに暮らしているのだろうかと考えました。「母親なしの自分」よりは幸せかもしれない。生きていれば会えるかもしれない・・・。

 その後なぜか、ツキ子は「自分は結婚しない」と誓いました。

「自分は頭がよくなく勉強も出来ない。それは、2番目の母親のせいだ。自分は短大に行けなかった。それは、2番目の母親のせいだ。自分は安い給料で働いて、休みも・・・それは、2番目の母親のせいだ。自分の将来は・・・」

そんなふうにツキ子は心の中で、ずっと思っていました。

 

 ツキ子は、40歳を過ぎました。

そんなある日、親猫が寿命で死んでしまいました。ツキ子は、猫の葬式をして埋葬をしました。

ツキ子は思いました。猫は20年近く生きて、そして死んだ。でも誰のせいで死んだのだろうと。あの2番目の母親のせいじゃない・・・。

親猫との思い出や、出産のときの事が蘇り、涙があふれました。

 

 ツキ子は後悔の気持ちが沸き上がってきました。そして思いました。もしあの時自分が、紹介された人と、あるいは出会った人と結婚していたら、あるいは地元を離れて別の仕事に就いていたら、別の人生があったかもしれない。

もし、親に反発しないで・・・。

 
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「にゃ~ん」と猫の鳴き声がしました。

遠くから「バアバ、バアバ・・・」と呼ぶ声がしました。

ハッと目を開くと、一緒に眠っていたはずの孫娘のリカが昼寝から先に目覚め、ツキ子を起こそうとしているのでした。孫娘のふくよかな手が、痩せてシミの浮かんだ50才過ぎた手を握っています。

「バアバ、早く遊ぼうよ」

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