ロタの物語(その1) [ミニ童話]
ロタは、「東の国」の貧しい共働き夫婦の家に生まれました。
綿雪が降る12月に生まれたので、お腹のまん中に白い痣がありました。ナイーブな性格で活発な子供でしたが、頑固なところも有りました。
運動神経が良く、サッカーなどが得意で、みんなの注目を浴びることもありました。大きくなると、段々とプライドの高い人になり、学校で友達に怪我をさせたことも有りました。なんとか学校を卒業し就職すると、両親の家から通勤しました。
就職して数年経った頃、残業が続いたある日、ロタは両親の家に戻って母親とケンカをしてしまいました。そして、怪我をさせてしまいました。
母親は、足を引きずる後遺症が残りました。両親は、もう50歳を過ぎていました。先行きを不安に思った二人は、ロタが仕事で留守の時を見計らって、自分達の家を出て、遠くの町に引っ越しました。
ロタは、しばらく両親の家で一人で生活していました。しかし、今まで洗濯、入浴も食事も親任せだったので、家の中はどんどん荒れていきました。ついに、ロタも家を出て、隣の「北の国」に働きに行きました。
「北の国」は「独裁者」が支配する国でした。
<続く>
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