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第2章 子供時代 [Child] ブログトップ
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第2章 子供時代 エピソード18 妹の誕生と死 [第2章 子供時代 [Child]]

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   コウが小学校に入学する少し前に、タミは女の子を生みましたが生まれてすぐ亡くなってしまいました。
コウは、妹が眠っている奥の部屋にそっと入っていきました。部屋には、ほかに誰もいませんでした。コウは、布団に寝かされた妹の額に触りました。
コウの小さな手のひらにその冷たさが伝わってきました。
コウは怖くなって、大人たちの方へすぐに戻りました。
はすIMG_1980 (480x640).jpg
 
   お寺に運ばれた妹の白い棺が、墓地に掘られた穴に下ろされて、土をかけられ、タミの涙を見た時、死ぬことの意味が少しわかりました。

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第2章 子供時代 エピソード17 街で買い物 [第2章 子供時代 [Child]]

 
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   タミの一番下の妹は港町の方に嫁いでいました。
ある日タミは、コウを連れてバスに乗って港町に住んでいる妹の所に行きました。港町は、すごい賑わいで、たくさんの人が買い物に来ていました。
 それから繁華街にも寄って、帰りにバスを待っている道路脇
お店に大きなバナナのかたまりがいくつも売られていました。バナナは、運動会などに遊びに行ったときしか食べたことがありませんでした。
 ほかにも、漫画、プラスチックのブロック、おもちゃ。
欲しいものがいっぱいならんでいました。コウは、買って欲しいとはどうしても言えませんでした。
 本屋さんで漫画を見ました。わくわくする本でした。
一つはロボットがロボットを造り、世界を支配する様なストーリーでした。
もう一つは、人工の皮膚をかぶった人型ロボットが正義の
味方で活躍す・・・
バスが来てしまいました。
ロボットとバナナ.jpg

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第2章 子供時代 エピソード16 虫 歯 [第2章 子供時代 [Child]]

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  ある日、コウは乳歯が虫歯になり歯茎が腫れました。
タミに連れられて歯医者さんに行き、腫れがひいてから、
膿を出して歯を抜きました。
タミはコウに、「痛いのを我慢したら帰りに美味しい
のを食べて帰るよ」と言いました。
コウは、抜歯の痛みを我慢して、涙が出ても泣き声は
出しませんでした。
コウは、抜歯した次の日から歯磨きをまじめにする
ようになりました。
   通院の帰りに、二人は食堂でラーメンを食べました。
でも、コウは、思いました。自分の家で食べる「しなそば」
の方が美味しいと。
寒い季節になると、コウの家ではダダとタミが、協力して
4人分の「しなそば」を作りました。
それは、北海道のおじさんからの昆布とシードおじいちゃ
の煮干しとダダの畑から取れたにんじんで出汁を取っ
すばらしい香りのスープでした。
四人で食べる夜は一番の幸せなひとときでした。
 
ラーメン.jpg

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第2章 子供時代 エピソード15 父の背中 [第2章 子供時代 [Child]]

  コウは、おたふく風邪にかかりました。ダダは、コウを自転車の後ろに乗せて町中の病院まで連れて行きました。近所に小児科の病院は無かったし、ダダは、車も免許も持っていませんでした。
病院までは、片道15キロくらいありました。
コウは、ダダの背中につかまり、白い縁石と埃っぽい砂利道を走ったことを覚えていました。
 ちょうど、コウが小学校に入学する少し前から、海岸沿いの新しい工場地帯に舗装道路が作られ始めていました。
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第2章 子供時代 エピソード14 箱そり(その2) [第2章 子供時代 [Child]]

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  雪が残る良く晴れた日、タミはコウを連れて「はねきみ」を作ってもらいに出掛けました。
「はねきみ」というのは、ポップコーンのことです。ふたりは、箱そりに夏に乾燥しておいたトウモロコシの種を積んで、雪道をとぼとぼと30分ほど歩きました。
時々、コウは箱そりに乗せてもらいました。雪道は、ところどころ
凍りついて歩きづらかったのです。それに、コウはまだ子どもでタミのように早くは歩けませんでした。 
  
 「はね屋」さんに到着すると、大勢の大人と子どもたちが順番を
待っていました。透明な壁越しに見ていると、「はね屋」さんは、トウモロコシをひょろひょろの機械に入れると火をつけて「バン!!」と爆発させていました。
コウは音に少しびっくりしましたが、それよりも「きみ」が一瞬の
うちにふくらんで床に散らばるのにびっくりしました。
甘くて焼けた匂いが漂ってくる透明な壁の向こうで、「はね屋」さん
「きみ」をほうきで集めていました。 
 
 コウ達も、はねてもらうと箱そりいっぱいに積んで家に帰りました。帰りは、箱そりが「はねきみ」で盛り上がっていたので、コウは
歩き疲れても乗ることができませんでした。
でも、コウは家に帰ったら「はねきみ」をおなかいっぱい食べられる
考えると、わくわくして一生懸命歩くことができました。
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第2章 子供時代 エピソード13 箱そり(その1) [第2章 子供時代 [Child]]

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   冬が来る前、ダダが木の箱にソリをくっつけて、箱そりを作りました。
雪が積もった時、箱そりはタミが買い物や荷物を運ぶ時に使う便利なものでした。
   雪が降るとコウとヨシは、川の外側の土手の斜面をその箱そりで滑って遊びました。 川面をたくさんの氷の固まりが流れる寒い日、いつものように遊んでいると、その箱そりが土手の内側を滑っていき、川に落ちてしまいました。
二人は、水に浮かんだ箱そりが、岸に近づくかもしれないと
少し見ていました。
しかし、箱そりは流氷とともに川を流れて行ったので、コウ達は
あきらめて家に帰りました。

   家に入ると、タミはコウ達の顔を見て何かを感じて問いかけました。箱そりのことを聞くと、タミはあわてて川の方に走っていきました。
   しばらくして、腰まで濡れたタミが箱そりを引いて戻ってきました。
箱そりは、川の中州のゴミに引っかかっていたのでした。タミは、コウ達を叱りはしませんでした。タミは、震えながら、冬の川の水に濡れた衣服を着替えました。
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第2章 子供時代 エピソード12 リンゴの木と電球 [第2章 子供時代 [Child]]

   シードおじいちゃんの家のそばには、家と同じくらい大きな小屋がありました。小屋には、二階まで在る大きな精米機があって、秋には何日も何日も、親戚中のお米を精米していました。
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 その大きな小屋の前には、リンゴの木が2本ありました。秋が近づいて、赤いりんごの実が真紅にふくらんでゆくのが、楽しみのひとつでした。
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 リンゴの木の間に、木よりも高い電柱が立っていて頂上に電球が付いていました。農作業等で暗くなってから帰宅したときは、おじいちゃんが灯りを付けました。
電球の灯りは、神話の星よりも光り輝き、コウや多くの大人たちを照らしました。  
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タグ: 灯り りんご
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第2章 子供時代 エピソード11 乳母車 [第2章 子供時代 [Child]]

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  大人たちが田植えや稲刈りなどで忙しい時、コウといとこ達は、いつもシードおじいちゃんの家で遊びました。
かくれんぼやおはじきや花の蜜を吸ったり、いろんな遊びをしました。乳母車も遊びの一つでした。
 大きな乳母車に年下のいとこたちを乗せて、コウが押しました。コウは、乳母車に勢いを付けて走り水たまりを跳んで遊びました。
 保育園を逃げ出してずいぶんと歩き続けたことがあるコウでしたが、乳母車に年下のいとこたちを何人も乗せて、
遠くの田んぼにいるタミ達のところまで行くことはできないと、ぼんやりと理解できました。

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