第2章 子供時代 エピソード9 おじいちゃんと草刈り [第2章 子供時代 [Child]]
夏のある日、コウは、シードおじいちゃん(タミの父)の田んぼの草刈りに付いて行きました。田んぼは、おじいちゃんの家から結構な距離があったのでリヤカーに乗せてもらいました。
おじいちゃんが一人で草刈りしている間、コウは、まだ鎌を使えなかったのであぜ道の水路で草をちぎって流したり、浮き草をぼんやりと見ていました。
すると急に激しい雨が降ってきました。急いで二人はリヤカーの下に隠れましたが、雨は下着まで濡らすほどひどい降り方でした。
雨が小降りになったので、おじちゃんの家に戻ると誰かが体を拭いて着替えをさせてくれました。コウは、雨に驚くこともなく体が冷えていることにも気がついていませんでした。ただ、おじいちゃんと一緒に草刈りに行けたこととリヤカーの下で二人でじっと雨が弱くなるのを待っている時間が嬉しかったのでした。
おじいちゃんが一人で草刈りしている間、コウは、まだ鎌を使えなかったのであぜ道の水路で草をちぎって流したり、浮き草をぼんやりと見ていました。
すると急に激しい雨が降ってきました。急いで二人はリヤカーの下に隠れましたが、雨は下着まで濡らすほどひどい降り方でした。
雨が小降りになったので、おじちゃんの家に戻ると誰かが体を拭いて着替えをさせてくれました。コウは、雨に驚くこともなく体が冷えていることにも気がついていませんでした。ただ、おじいちゃんと一緒に草刈りに行けたこととリヤカーの下で二人でじっと雨が弱くなるのを待っている時間が嬉しかったのでした。
第2章 子供時代 エピソード8 漁と煮干し作り(その2) [第2章 子供時代 [Child]]
その小さなお祭りのような地引き網漁に、コウもタミに連れられて行ったことがありました。
タミが網を引いている時、コウはタミの回りにハエのようにまとわりついていました。
しかし、タミが魚の分配を手伝っている時は邪魔だったので、コウに小さな蟹をくれました。
コウは、大きな波のこない砂浜でその蟹と遊んでいました。すると、小学生の男の子がきてその蟹を持って行ってしまいました。コウは、唖然として見送っていました。
あの小さな蟹はどうなってしまったのでしょうか。
タミが網を引いている時、コウはタミの回りにハエのようにまとわりついていました。
しかし、タミが魚の分配を手伝っている時は邪魔だったので、コウに小さな蟹をくれました。
コウは、大きな波のこない砂浜でその蟹と遊んでいました。すると、小学生の男の子がきてその蟹を持って行ってしまいました。コウは、唖然として見送っていました。
あの小さな蟹はどうなってしまったのでしょうか。
小さな魚は、たくさんの木の箱に入れ、おじいちゃんの家に運びました。
シードおじいちゃんの家では、親戚の男の人や女の人がお風呂に使う大きな釜で小魚を茹でて、竹で作った、小さな畳ほどもあるセイロに干すのです。乾燥すると煮干として売りました。
セイロは、竹職人だったダダが作りました。
コウや多くのいとこ達は、茹でたての小魚をつまみ食いして空腹を満たしました。でも、そんな事をしても、誰も怒られませんでした。
シードおじいちゃんの家では、親戚の男の人や女の人がお風呂に使う大きな釜で小魚を茹でて、竹で作った、小さな畳ほどもあるセイロに干すのです。乾燥すると煮干として売りました。
セイロは、竹職人だったダダが作りました。
コウや多くのいとこ達は、茹でたての小魚をつまみ食いして空腹を満たしました。でも、そんな事をしても、誰も怒られませんでした。
コウの家では、夕食のとき塩をふった鰯を食卓の横で七輪で焼いて、焼き立てを食べていました。油がジュージューと音を立てている熱々の鰯を白いご飯と一緒に食べるのが、コウとヨシは大好きでした。
ダダとタミは、燕のように口を動かす二人にせっせと焼けた鰯を渡すので、自分たちはご飯を食べる暇がありませんでした。
でも、ダダとタミはニコニコ笑いながらそんな二人を見ていました。幸せな四人の食卓でした。
ダダとタミは、燕のように口を動かす二人にせっせと焼けた鰯を渡すので、自分たちはご飯を食べる暇がありませんでした。
でも、ダダとタミはニコニコ笑いながらそんな二人を見ていました。幸せな四人の食卓でした。
第2章 子供時代 エピソード7 漁と煮干し作り(その1) [第2章 子供時代 [Child]]
した。
船は、他の家の人が出しました。休日に船を出して、
網をかけると原付に乗ったよそのおじさんが、「網カケ
タゾー、網カケタゾー」と言って、自分の町内は
もちろんのこと隣の町内も、そのまた隣の町内まで
声をかけて走り回りました。
その声を聞くと、大人の男も女の人も、子供たちまで
連れて、家族みんなで浜に出掛けました。
そして、大人の男の人や女の人や体の大きな中学生まで
もが、漁師の人が準備した「引きひも」を借りて、
網の元綱に引っかけて、みんなで網を引っ張りました。
その光景はまるで、小さなお祭りのようでした。
そして、大きな波が押し寄せる暗い海の底から、
船は、他の家の人が出しました。休日に船を出して、
網をかけると原付に乗ったよそのおじさんが、「網カケ
タゾー、網カケタゾー」と言って、自分の町内は
もちろんのこと隣の町内も、そのまた隣の町内まで
声をかけて走り回りました。
その声を聞くと、大人の男も女の人も、子供たちまで
連れて、家族みんなで浜に出掛けました。
そして、大人の男の人や女の人や体の大きな中学生まで
もが、漁師の人が準備した「引きひも」を借りて、
網の元綱に引っかけて、みんなで網を引っ張りました。
その光景はまるで、小さなお祭りのようでした。
そして、大きな波が押し寄せる暗い海の底から、
不思議なことに、あの「大きなかぶ」のようにたくさんの
魚が入った網がゆっくりと現れるのです。
第2章 子供時代 エピソード6 おばあちゃんのおやつとおじいちゃんのカフェオレ [第2章 子供時代 [Child]]
シードおじいちゃんの家には、なにがしか食べ物が
ありました。
ハナおばあちゃんは二十歳前に嫁入りしたので
子どもが六人もいました。
だから、自分の孫はもちろんのこと、農業や漁業を
手伝いに来る親戚の人たちの子どもたちを入れると
七人も八人もいるときがありました。
おばあちゃんは、時々、もち米の粉とすりおろした
長芋と砂糖を混ぜ、フライパンで揚げたおやつを作って
くれました。
その後、コウは大人になるまで、おばあちゃんの家以外
ではそれを一度も食べたことがありませんでした。
ありました。
ハナおばあちゃんは二十歳前に嫁入りしたので
子どもが六人もいました。
だから、自分の孫はもちろんのこと、農業や漁業を
手伝いに来る親戚の人たちの子どもたちを入れると
七人も八人もいるときがありました。
おばあちゃんは、時々、もち米の粉とすりおろした
長芋と砂糖を混ぜ、フライパンで揚げたおやつを作って
くれました。
その後、コウは大人になるまで、おばあちゃんの家以外
ではそれを一度も食べたことがありませんでした。
シードおじいちゃんは、孫達が集まるとコーヒー牛乳を、
近くの牛屋さんから買った大きなビンの牛乳で割って、
コップに分けて与えました。
子どもたちはみんな、おじいちゃんのそのカフェオレが
大好きでした。
第2章 子供時代 エピソード5 保育園 [第2章 子供時代 [Child]]
町内のお寺に保育園が作られました。コウは、みんなと遊ぶのが苦手で、また、お昼寝も苦手でした。
ある日、いとこと二人で保育園を逃げ出しました。お寺を抜けて、田んぼ道を歩いて、川の土手を通って、シードおじいちゃん(タミの父)の家に着きました。
たぶん、一時間くらい歩いたのでしょう。
大人達は、歩いて戻った二人を見てびっくりして、そして感心しました。
ある日、いとこと二人で保育園を逃げ出しました。お寺を抜けて、田んぼ道を歩いて、川の土手を通って、シードおじいちゃん(タミの父)の家に着きました。
たぶん、一時間くらい歩いたのでしょう。
大人達は、歩いて戻った二人を見てびっくりして、そして感心しました。
この話を聞いた親戚の人が、「さすが、シードじいちゃんの孫だな。」と言いました。
いとこのおかあさんが、「どうして?」と聞くと、
そのおじさんは、「だって、じいちゃんは二十歳になる前に、船に乗って家出したんだもの。」と笑いました。
それを聞いていた、シードじいちゃんは照れ笑いをしていました。
いとこのおかあさんが、「どうして?」と聞くと、
そのおじさんは、「だって、じいちゃんは二十歳になる前に、船に乗って家出したんだもの。」と笑いました。
それを聞いていた、シードじいちゃんは照れ笑いをしていました。
タミは、コウを保育園に預けるのをやめ、ハナおばあちゃんの(タミの母)所に預けるようになりました。
コウは、孫の中で一番の年長の男の子だったので、ずいぶん可愛がられました。
タミの弟のロジおじさんは、シードおじいちゃんの跡取りでしたが、わが子のように可愛がってくれました。自分のトラックに乗せたり、買い物にも連れて行きました。
タグ:保育園
第2章 子供時代 エピソード3 弟の誕生 [第2章 子供時代 [Child]]
ある日、タミが寝込んでいるとダダがそわそわして
いました。知らないおばさんが来て、コウは、隣にある
ダダの実家に行っていなさいと言われました。
スーおばあちゃんのところで遊んでいましたが、
少しして家に戻ると赤ちゃんがいました。
弟の名前はヨシと言いました。
いました。知らないおばさんが来て、コウは、隣にある
ダダの実家に行っていなさいと言われました。
スーおばあちゃんのところで遊んでいましたが、
少しして家に戻ると赤ちゃんがいました。
弟の名前はヨシと言いました。
首が座るようになると、ヨシはインチコという植物を
編んだかごで眠っていました。
編んだかごで眠っていました。
いつのまにか、タミも働きに出るようになりました。
学歴のないタミは、男がするようないろいろな力仕事を
しました。
時には、港で荷物を運ぶ仕事をしているとき船の間に
落ちて死にそうになったこともありました。
ダダもタミも帰りが遅くなることが多くなりました。
小学校の四年生頃から、コウが薪で夕御飯を炊く係に
なりました。
学歴のないタミは、男がするようないろいろな力仕事を
しました。
時には、港で荷物を運ぶ仕事をしているとき船の間に
落ちて死にそうになったこともありました。
ダダもタミも帰りが遅くなることが多くなりました。
小学校の四年生頃から、コウが薪で夕御飯を炊く係に
なりました。