第3章 小学校 エピソード16 馬の屁 [第3章 小学校 [El school]]
コウの知識が増えてきて、疑問に思ったことをダダに尋ねることがありました。コウが、何度も何度も質問するので、ダダはいつも最後には、
「この、やくどい馬の屁」と言って、会話は終わりました。
「この、やくどい馬の屁」と言って、会話は終わりました。
雪が解けた暖かい日、タミは兄弟の所から大きな中古の机をもらってきました。コウに勉強を頑張ってほしかったのでしょう。でもなぜか、コウはその机を使うがいやでした。
なんとなく、机を部屋に置くと、鳥の巣で遊んでいた自分ではなくなってしまう様な気がしたのです。
コウの部屋に入れる入れないで口げんかをしているうちに、とうとうタミも怒りだしてしまいました。そして、コウも泣いて拒否を続けました。
コウの部屋に入れる入れないで口げんかをしているうちに、とうとうタミも怒りだしてしまいました。そして、コウも泣いて拒否を続けました。
コウは、まもなく中学生になろうとしていました。
第3章 小学校 エピソード15 映画と吹奏楽 [第3章 小学校 [El school]]
小学校では、授業時間に体育館で映画の上映会がありました。
コウが大人になってからも覚えていたのは、子供たちが水の中の国にお母さんを探しに行く映画です。ラストシーンはゲームに勝ってハッピーエンドでしたが、コウは、水の世界に行きたいとは思いませんでした。
孤児の男の子がサーカス団と一緒に旅をしながらお母さんを探す映画も覚えていました。少年は、すばらしい歌声を持っていたので最後にはお母さんと会えました。でも、コウは歌が上手になりたいとは思いませんでした。
日本の映画も見ました。東京から転校生が田舎に引っ越してきて、クラスで仲良くなってゆくストーリーでした。森の中で蝶々が、脱皮する姿が美しく描かれていました。
でも、コウは友達を作るのが苦手だったので転校生になりたいとは思いませんでした。
でも、コウは友達を作るのが苦手だったので転校生になりたいとは思いませんでした。
猿飛サスケの映画も見ました。コウは、サスケの様に忍術を使いたいと思いました。
毎年一回、学区の中学校の吹奏楽部が公演にきました。この時は授業が終わってからなので、生徒の父兄も体育館に入場でき、体育館は満席になりました。
コウは、中学生たちがすごく大人に見え、その演奏に感心しましたが、自分で楽器を鳴らしたいとは考えませんでした。
コウは、中学生たちがすごく大人に見え、その演奏に感心しましたが、自分で楽器を鳴らしたいとは考えませんでした。
第3章 小学校 エピソード14 スーおばあちゃんの死 [第3章 小学校 [El school]]
お正月が過ぎた頃の朝、隣に住んでいるスーおばあちゃんが危篤になりました。
いとこが呼びにきたとき、コウは、まだ布団の中にいました。いつも遊んでくれていた、あのおばあちゃんがいなくなる。そして、あの時の妹のように冷たくなって、土に埋められてしまうと感じると、コウは、怖くて布団から出ることが出来ませんでした。
いとこは、何度か声をかけましたが、しまいにあきれて行ってしまいました。
いとこが呼びにきたとき、コウは、まだ布団の中にいました。いつも遊んでくれていた、あのおばあちゃんがいなくなる。そして、あの時の妹のように冷たくなって、土に埋められてしまうと感じると、コウは、怖くて布団から出ることが出来ませんでした。
いとこは、何度か声をかけましたが、しまいにあきれて行ってしまいました。
死ぬことがこんなに周りの人を怖がらせ、悲しませるなら自分は「幸福な王子」の王子とツバメの様にひっそりと夜空の星になった方がよい。
でも、自分は王子の役割なのか?ツバメの役割なのか?と自身に問いかけました。コウは、青い目のサファイアも剣のルビーもないのだからツバメのように価値あるものを届ける役割かもしれないと考えました。
でも、自分は王子の役割なのか?ツバメの役割なのか?と自身に問いかけました。コウは、青い目のサファイアも剣のルビーもないのだからツバメのように価値あるものを届ける役割かもしれないと考えました。
何日か後、コウはタミやみんなと一緒に遺骨になったおばあちゃんの後ろに並んでお寺まで歩きました。
第3章 小学校 エピソード13 地震とおじいちゃんの家の新築 [第3章 小学校 [El school]]
コウが4年生のとき、大きな地震がありました。ちょうど、授業中だったので、1階の教室のコウ達は、桜の木の下に逃げました。小さな津波も来ましたが、学校は海から離れているので被害はありませんでした。学校の帰り道のコンクリートの橋には、亀裂ができているのが、分かりました。
自宅とキチおじいちゃんの家に被害はありませんでしたが、シードおじいちゃんの家は建て直すことになりました。 シードおじいちゃんの家は、大きな家でした。と言うのも、東側半分は、馬を飼うための場所になっていました。家の真ん中の玄関と土間を入っていくと、薄暗い厩から特有の匂いがして、茶色の馬が動いているのが分かりました。
自宅とキチおじいちゃんの家に被害はありませんでしたが、シードおじいちゃんの家は建て直すことになりました。 シードおじいちゃんの家は、大きな家でした。と言うのも、東側半分は、馬を飼うための場所になっていました。家の真ん中の玄関と土間を入っていくと、薄暗い厩から特有の匂いがして、茶色の馬が動いているのが分かりました。
シードおじいちゃんやロジおじさん達は、精米機のある大きな小屋に引っ越しして、古い家の取り壊しが始まりました。取り壊しの時は、大変な人数の大人が集まりました。大工さんのほかに、親戚中の男の人が集められました。大勢の男の人の食事の準備をするために、男の人の奥さんや家事ができる女の人も来ました。
当然、お母さんたちは、学校に入学していない子どもや登校前の子どもたちも連れてきました。だから、日曜日の日には、小学生や中学生まで親についてきて、食事をして、遊び回って、まるでお祭りの様でした。
新しい家を建てる時は、人数は減り、壊す時以上の日数がかかりました。今度の家の屋根は、トタンでできていました。
飼っていた馬は、いつのまにかいなくなっていました。
第3章 小学校 エピソード12 うさぎ [第3章 小学校 [El school]]
ダダは、うさぎを何羽か飼っていました。冬に食べるためです。学校から帰ると家の近くの草むらから、鎌で草を刈って来て、狭いウサギ小屋の上のふたをずらして、餌を入れるのが、コウの役割でした。
コウは、口を動かして一生懸命食べるうさぎをじっと見ていのが好きでした。かわいいうさぎ。子供が生まれる時もありました。クローバーの里にはうさぎもいました。
コウは、口を動かして一生懸命食べるうさぎをじっと見ていのが好きでした。かわいいうさぎ。子供が生まれる時もありました。クローバーの里にはうさぎもいました。
雪が降ったある日、ダダがうさぎを小屋から出して畑の方に連れて行きました。ダダはコウにナイフを渡し、殺してみろと言いました。コウにはできませんでした。少し失望した目をしたダダが、「家に帰っていろ。」言ったので、
コウは、急いで家に戻りました。
コウは、急いで家に戻りました。
夜には うさぎを煮た鍋と肝臓の串を食べました。空腹には勝てなかったのです。コウは、生きることと食べることの意味が少し分かりました。
タグ:うさぎ
第3章 小学校 エピソード11 図書室 [第3章 小学校 [El school]]
アポロが月面に着陸する少し前、コウが朝のテレビで「狼少年ケン」や「ジャングル大帝」を見てから登校していた頃に、小学校の校舎が鉄筋コンクリートの新しい建物になりました。
図書室にもたくさん本が置かれました。コウが好きだったのは、動物記もの、漂流記もの、ギリシャ・ローマ・日本の神話、歴史の漫画、科学、伝説、怪奇現象などなどでした。
タミは、苦しい生活費の中からコウをそろばんの塾に通わせました。でも、コウは、ほとんどそろばんの練習をせず、学校のプールにも通わず、家でテレビを見たり学校の図書室の貸出し本を読んだり、想像の遊びをしているばかりでした。
逆に、弟のヨシは、明るく活発な子どもでした。
逆に、弟のヨシは、明るく活発な子どもでした。
第3章 小学校 エピソード10 遠 足 [第3章 小学校 [El school]]
ある日、コウ達のクラスは遠足で遊園地に行きました。
上級生は登山に行き、下級生たちは近くの公園に遠足でした。
コウ達は、お弁当と遊具に乗るためのお小遣いを持って、バスに
乗り出掛けました。
でも、遊園地に着いてもコウだけは、乗り物や遊具に乗りませ
んでした。ベンチに横になって明るい日差しを浴びて時間を
つぶしていました。
先生が心配して「具合が悪いのかい。」と聞きましたが、コウは、
「大丈夫です。」と明るく答えました。
コウは、お小遣いを少しはもらっていたのですが、どうしても
使う気にはなれなかったのです。
大きな理由は二つありました。一つは、ダダとタミが一生懸命
働いてくれたお金を遊具や缶ジュースなどに使いたくなかった
のです。これは、少し我慢すれば乗り越えられることでした。
もう一つは、家の近所に出来た本屋さんでどうしても借りたい
漫画の本がたくさん有ったのです。
それは、忍者や探偵や怪奇物のわくわくする漫画の本でした。
それらの漫画を見ないことは、とても我慢できないことでした。
それで、とうとうコウは、回転するコーヒーカップや飛行機
上級生は登山に行き、下級生たちは近くの公園に遠足でした。
コウ達は、お弁当と遊具に乗るためのお小遣いを持って、バスに
乗り出掛けました。
でも、遊園地に着いてもコウだけは、乗り物や遊具に乗りませ
んでした。ベンチに横になって明るい日差しを浴びて時間を
つぶしていました。
先生が心配して「具合が悪いのかい。」と聞きましたが、コウは、
「大丈夫です。」と明るく答えました。
コウは、お小遣いを少しはもらっていたのですが、どうしても
使う気にはなれなかったのです。
大きな理由は二つありました。一つは、ダダとタミが一生懸命
働いてくれたお金を遊具や缶ジュースなどに使いたくなかった
のです。これは、少し我慢すれば乗り越えられることでした。
もう一つは、家の近所に出来た本屋さんでどうしても借りたい
漫画の本がたくさん有ったのです。
それは、忍者や探偵や怪奇物のわくわくする漫画の本でした。
それらの漫画を見ないことは、とても我慢できないことでした。
それで、とうとうコウは、回転するコーヒーカップや飛行機
にも乗らず、友達と話したり檻に入った動物を見て過ごし、
お小遣いを残して帰ったのでした。
第3章 小学校 エピソード9 新しい保育園 [第3章 小学校 [El school]]
コウが小学校に入学して、何年かすると小学校の隣の小さな
沼を埋め立てて、新しい保育園が作られました。
みんなは、よく学校の帰りに、その沼の回りで遊びました。
沼と隣り合う川をつなぐ土管。その流れ出る水と土手の斜面は
みんなの遊び場でした。
夏の生ぬるい沼の水。アメンボやゲンゴロウやオタマジャクシ。
ガマガエルの大きな泣き声。
がまの穂や名前の分からない植物。・・・
沼を埋め立てて、新しい保育園が作られました。
みんなは、よく学校の帰りに、その沼の回りで遊びました。
沼と隣り合う川をつなぐ土管。その流れ出る水と土手の斜面は
みんなの遊び場でした。
夏の生ぬるい沼の水。アメンボやゲンゴロウやオタマジャクシ。
ガマガエルの大きな泣き声。
がまの穂や名前の分からない植物。・・・
コウの家の近くにも田んぼがあり、夏の夜は蛙の泣き声が
うるさくて眠れない時がありました。
うるさくて眠れない時がありました。
でも、コウが高校生になる頃には、水田が畑になり、そのうち
草がぼうぼうの荒れ地になっていきました。
あの沼や田んぼに住んでいたカエルやタニシ達はどこに
行ってしまったのでしょう。
新しい保育園が出来て、コウ達が通学のたびに保育園の前を
通ると、園庭で小さな子供たちがにぎやかに遊んでいました。
その声は、蛙の合唱にも似ていました。
通ると、園庭で小さな子供たちがにぎやかに遊んでいました。
その声は、蛙の合唱にも似ていました。
タグ:保育園