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ロタの物語(その5) [ミニ童話]

 馬の姿になっていたロタに、いつの間にか牛が近づいてきて、お腹をなめました。馬のお腹には白い痣が有りました。牛は、馬の眼をじっと見ては、痣を何度もなめました。

馬になったロタの眼からは、なぜか涙があふれてきました。

 その涙が、牛の後ろ足にこぼれると、牛は年をとった母親の姿になりました。そして、涙が老人の顔に落ちると、目が見える様になりました。

 目が見える様になった老人は、馬のお腹の痣を見て、自分の家族の話を語りました。

「・・・昔、悩んでいた子供を見捨てて逃げてしまったので、神様に罰を受けている・・・」

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 老人の告白が終わると、馬はロタの姿に戻りました。  

  

 三人が涙を流して抱きしめ合っていると、やがて、森の奥から朝日のような光が差しました。光を浴びた三人は、白鳥の姿に変わりました。 


三羽は「kuaa、kuaa、kuaa」と鳴いて翼を広げると、光に吸い込まれるように舞い上がりました。そして、3羽は光の方向に仲良く飛び続けました。

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<終わり>







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ロタの物語(その4) [ミニ童話]

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 やがて、低い木の緑色の実に一条の光が当たると赤く色づきました。赤からピンク、そして黄色や水色に輝きだしました。

すると、牛が立ち上がり「モー」と鳴きました。牛は、足を引きずりながら、老人の背を押し、光る実の方に誘導しました。老人は目が悪いのか、牛の誘導に従って歩いて立ち止まり、光る実を捕まえました。捕まえると、木の側から離れて、その光る実を空に向かって力一杯放り投げました。光る実は、だんだんと瑠璃色の空に昇って、星のように輝き始めました。  


そうすると、牛は老人のそばに来て座り込みました。老人も、ホッとしたように牛の側に座り込んでいるのでした。 


  ウシの後ろ足を良く見ると、片方の足に古い傷が有りました。それは昔、ロタが母親に怪我をさせた右足と同じ方でした。

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 しばらくすると、また、次の実に光がさし、実は熟したように光り始めました。橙色の実は熱く光り、水色の実は凍っているように光っていました。老人の手は、火傷をした様に赤くなったり、凍傷の様に紫色になって、ひどく辛そうでした。

<続く>







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ロタの物語(その3) [ミニ童話]

   丘を超えると、夕暮れのような草原が見えてきました。やがて、木がまばらに生い茂った森にたどり着きました。
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まばらな木の周りには、所々数人の大人や子供、時には動物がいました。ロタが、近くの木の側に居る老人に、
「貴方は、何をしているのですか?」
と聞くと、老人は、
「星を磨いているんだよ」
と言いました。ロタは少し奥に行き、別の木の側に居る少女に、
「君は、何をしているの」
と聞くと、
「私は、星の種を育てているの」
と言いました。ロタは、理解できないまま、まばらな森の奥にどんどん歩いて行きました。すると、知らぬ間にロタは馬の姿に変身していました。
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 いつのまにか、日の出前の様にスカイラインがピンクで、天上が瑠璃色の空の下にたどり着きました。目の前に、リンゴのような実がたくさん付いた一本の低い木が有りました。
その木の傍に、父に似た老人と一頭のウシが寝そべっていました。馬の姿になったロタは、ぼんやりとその老人を見ていました。
<続く>


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ロタの物語(その2) [ミニ童話]

 ロタは、一人で何とか暮らしていましたが、些細なことで他人に怪我をさせ、刑務所に入れられてしまいました。
刑務所で服役している間に、「独裁者」が「東の国」に侵略を始めました。
ある日、刑務所に役人が来て、軍隊に入って戦争に行けば、罪を許すと言われました。
ロタは兵隊に成り、自分が生まれ育った「東の国」に進軍しました。
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「東の国」に進軍して程なく、ロタは見慣れた故郷の町に着きました。怯えながら「北の国」の兵隊の後ろについて戦っていましたが、どうしても銃を街の人に向ける事が出来ませんでした。ついに、ある町で、両親に似た家族を助けようとして銃弾に倒れました。  
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 ロタは、目が覚めると温かい雪の積もった原っぱにいました。神様がやってきて、
「死の国へ行く前に、願いを一つかなえてやろう」と言いました。ロタは、
「両親に会いたい」
と言いました。神様が、
「あの丘を超えて行け」
と言ったので、ロタは示された方向に歩いていきました。
<続く>


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ロタの物語(その1) [ミニ童話]

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 ロタは、「東の国」の貧しい共働き夫婦の家に生まれました。
綿雪が降る12月に生まれたので、お腹のまん中に白い痣がありました。ナイーブな性格で活発な子供でしたが、頑固なところも有りました。
 運動神経が良く、サッカーなどが得意で、みんなの注目を浴びることもありました。大きくなると、段々とプライドの高い人になり、学校で友達に怪我をさせたことも有りました。なんとか学校を卒業し就職すると、両親の家から通勤しました。
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 就職して数年経った頃、残業が続いたある日、ロタは両親の家に戻って母親とケンカをしてしまいました。そして、怪我をさせてしまいました。
母親は、足を引きずる後遺症が残りました。両親は、もう50歳を過ぎていました。先行きを不安に思った二人は、ロタが仕事で留守の時を見計らって、自分達の家を出て、遠くの町に引っ越しました。
 ロタは、しばらく両親の家で一人で生活していました。しかし、今まで洗濯、入浴も食事も親任せだったので、家の中はどんどん荒れていきました。ついに、ロタも家を出て、隣の「北の国」に働きに行きました。
 「北の国」は「独裁者」が支配する国でした。
<続く>  


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うたた寝(副題:幼く寂しい生き物) [ミニ童話]

 高慢な人間がテレビでパラリンピックを見ていましたこの人は手や足などの無い人をバカにして見下す人間でした時間を持て余して居間で猫と一緒に何となくテレビを見ていましたがいつのまにか眠ってしまいました

ソファーとテレビ.jpg

目が覚めると、木の枝などで造られた鳥の巣のようなところ

居ましたそこは鳥人間の世界でした出会った鳥人間

言いました

おいあの人間は翼が無いぞ

そう言うとみんなで高慢な人間の頭を嘴で突つきました

頭を血だらけにされて高慢な人間は気を失いました

 

 次に目が覚めると蒸し暑い蛇人間の世界に居ました

蛇人間達は言いました

おいあの人間は手と足があって美味しそうだな

と言って蛇人間達は高慢な人間を食べようと追いかけ

回しました

 

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 疲れて倒れた後目を覚ますと真っ暗な世界に居ました
そこは地底世界でした地底に住む生き物は音と触感で
生活をしているようでした。少しすると天井から声が聞こえ
ました

おいあの生き物は天井を飛べないし、世界を耳で知るこ

とが出来ないようだぞ

どうやら地底人は翼と鉤爪を持っていて音の反響で空間を

見ているようでした地底人達が・・・

 

コウモリとコロニー.jpg

 また目が覚めると、そこは薄暗くて静かな所でした遠く

で小さな光が瞬いていましたああ悪夢から目が覚めて

やっと自分の家に戻ってきたんだなと思いました

でも周りを良く見ると肌寒くて窓が全然ありませんでした

しかも体がとっても軽くなっていましたひとりぼっちで

寂しくなりました

 

寂しい人間は建物の中に他の人間が居ないか探し回りま

したが誰も居ませんやっと小さな窓を見つけて外を見る

大きな月が見えました

でもそれはいつも見ていた月の姿とは違っていました

それは茶色になった地球のように見えました

ここはロボットが住む宇宙コロニーでした

 

寂しい人間はもうどのくらいここに居るのか分からなく

なりましただって、スマホは無いしカレンダーは無いし

何よりもひとりぼっちでテレビも無いのですから

寂しい人間が叫び声をあげようとしたときいきなり目

が覚め飛び起きました

 

 ソファーの上で冷や汗をかいている自分を見下ろしながら

ふと点けっぱなしだったテレビの方を見ました

テーブルの下にいた飼い猫のルナ、「幼い人間を見つめて

ニャーつぶやきました

 

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※1 芥川龍之介調、宮沢賢治風に童話を創作してみました。
 2 障害のある方を差別する意図はありません。私の母は、晩年寝たき


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