昭和の時代、北国の小さな町の話。クローバーが畑にも、家の周りにも生えている里の小さな家族の話。


 クローバーの里にダダという名の男がいました。 ダダの姉妹兄弟は四人いて、末っ子だったので、 親から財産も土地ももらえませんでした。

少年時代に大きな戦争が終わって、中学校を卒業した後、ダダは、手に職をつけるために桶職人の親方の所に弟子入りしました。

 ダダが桶を作る職人として自立した頃、町内の川向 こうに住んでいた二才年下のタミをお嫁にもらいました。




  ダダとタミは小学校がいっしょでした。タミは六人姉妹兄弟の二番目でした。タミの生家は土地がたくさんあり、小さい頃から畑仕事で忙しかったので学校にはあまり行きませんでした。小学校は一応卒業しました。

 タミが年頃になるころには、一番上のお姉さんと下の妹は、土地をいっぱい持っている農家にお嫁に行っていました。