ある年のお正月、コウは親戚のおじさんやおばさんから
お年玉をたくさんもらいました。
コウは財布を持っていなかったので、お札を、セーターの
間に入れて遊んでいるうちに落としてしまいました。
コウは、悔しくて悲しくて涙が出ました。

 






   コウは涙を流しながら、お正月のずっと前に、お米を持って
買い物に行ったことを思い出しました。
そのお米は、タミが実家からもらった田んぼで、田植えと
稲刈りを親戚から手伝ってもらって収穫し、シードおじい
ちゃんに精米してもらったものでした。
 その日、タミはお米を背に担いで、コウとヨシを連れて
近所の食料品店に行きました。
タミは、店の女の人に
「みっちゃん、これで頼むじゃ」
と言いました。
その店のおかみさんは、タミの小学校の同級生でした。
ミチさんは、
「ちょうど、旦那が仕入れで居なくて良かったよ」
と言いました。
タミは、お米を渡すと重さを量ってもらいお金に替えました。
タミは、惣菜等を選びながら、
「好きなお菓子を買っていいよ」
とコウとヨシに言いました。
ヨシは喜んでいろいろ探していましたが、コウはどれ一つ
手にとることが出来ませんでした。


   結局、コウはヨシと同じものを買ってもらい、タミの荷物を
風呂敷に分けて、運ぶのを手伝いながら帰宅しました。