コウが小学校に入学して、何年かすると小学校の隣の小さな
沼を埋め立てて、新しい保育園が作られました。
   みんなは、よく学校の帰りに、その沼の回りで遊びました。
沼と隣り合う川をつなぐ土管。その流れ出る水と土手の斜面は
みんなの遊び場でした。
夏の生ぬるい沼の水。アメンボやゲンゴロウやオタマジャクシ。
ガマガエルの大きな泣き声。
がまの穂や名前の分からない植物。・・・

  コウの家の近くにも田んぼがあり、夏の夜は蛙の泣き声が
うるさくて眠れない時がありました。


でも、コウが高校生になる頃には、水田が畑になり、そのうち
草がぼうぼうの荒れ地になっていきました。
あの沼や田んぼに住んでいたカエルやタニシ達はどこに
行ってしまったのでしょう。


   新しい保育園が出来て、コウ達が通学のたびに保育園の前を
通ると、園庭で小さな子供たちがにぎやかに遊んでいました。
その声は、蛙の合唱にも似ていました。