三歳のリカちゃんは、アデノウィルスに罹ってしまいました。すぐにかかりつけの小児科で点滴をしました。お母さんがつきっきりで、一日目は6時間もかかりました。

次の日も4時間の点滴をしたので、紙おむつが一袋無くなってしまうほどでした。でも三日目には大分良くなっていました。





 四日目の朝、お母さんが久しぶりにいつもの仕事に出掛ける準備の間、リカちゃんは隣地に住むダダとタミの家で朝食を食べさせてもらっていました。

出勤準備の出来たお母さんが玄関に寄って、バイバイと言って、いつもどおりリカちゃんとハイタッチをしましたが、玄関扉の閉まる音を聞いて、急に泣きだしました。

   昨日までお母さんと一日中一緒にいられたのに、今日からはまた保育園に送り出され、夕方まで会えないと気づき悲しい気持ちが沸きだしたのでしょう。

「ママ~、ママ~。ア~ン、ア~ン・・・」


   ダダが両目から流れる涙を交互に涎掛けで拭きましたが泣きやみません。ダダは困ってしまいました。

   泣きながらリカちゃんが「抱っこして」と言うので、妻のタミは膝にやさしく抱えてあやしました。段々と大人しくなったリカちゃんはテレビ番組の「おかあさんといっしょ」をじっと見ていました。