ダダは、うさぎを何羽か飼っていました。冬に食べるためです。学校から帰ると家の近くの草むらから、鎌で草を刈って来て、狭いウサギ小屋の上のふたをずらして、餌を入れるのが、コウの役割でした。
   コウは、口を動かして一生懸命食べるうさぎをじっと見ていのが好きでした。かわいいうさぎ。子供が生まれる時もありました。クローバーの里にはうさぎもいました。






 雪が降ったある日、ダダがうさぎを小屋から出して畑の方に連れて行きました。ダダはコウにナイフを渡し、殺してみろと言いました。コウにはできませんでした。少し失望した目をしたダダが、「家に帰っていろ。」言ったので、
コウは、急いで家に戻りました。




   夜には うさぎを煮た鍋と肝臓の串を食べました。空腹には勝てなかったのです。コウは、生きることと食べることの意味が少し分かりました。