町内のお寺に保育園が作られました。コウは、みんなと遊ぶのが苦手で、また、お昼寝も苦手でした。
ある日、いとこと二人で保育園を逃げ出しました。お寺を抜けて、田んぼ道を歩いて、川の土手を通って、シードおじいちゃん(タミの父)の家に着きました。
たぶん、一時間くらい歩いたのでしょう。
大人達は、歩いて戻った二人を見てびっくりして、そして感心しました。


  この話を聞いた親戚の人が、「さすが、シードじいちゃんの孫だな。」と言いました。
いとこのおかあさんが、「どうして?」と聞くと、
そのおじさんは、「だって、じいちゃんは二十歳になる前に、船に乗って家出したんだもの。」と笑いました。
それを聞いていた、シードじいちゃんは照れ笑いをしていました。






   タミは、コウを保育園に預けるのをやめ、ハナおばあちゃんの(タミの母)所に預けるようになりました。
コウは、孫の中で一番の年長の男の子だったので、ずいぶん可愛がられました。
   タミの弟のロジおじさんは、シードおじいちゃんの跡取りでしたが、わが子のように可愛がってくれました。自分のトラックに乗せたり、買い物にも連れて行きました。