冬が来る前、ダダが木の箱にソリをくっつけて、箱そりを作りました。
雪が積もった時、箱そりはタミが買い物や荷物を運ぶ時に使う便利なものでした。


   雪が降るとコウとヨシは、川の外側の土手の斜面をその箱そりで滑って遊びました。 川面をたくさんの氷の固まりが流れる寒い日、いつものように遊んでいると、その箱そりが土手の内側を滑っていき、川に落ちてしまいました。
二人は、水に浮かんだ箱そりが、岸に近づくかもしれないと
少し見ていました。
しかし、箱そりは流氷とともに川を流れて行ったので、コウ達は
あきらめて家に帰りました。


   家に入ると、タミはコウ達の顔を見て何かを感じて問いかけました。箱そりのことを聞くと、タミはあわてて川の方に走っていきました。


   しばらくして、腰まで濡れたタミが箱そりを引いて戻ってきました。
箱そりは、川の中州のゴミに引っかかっていたのでした。タミは、コウ達を叱りはしませんでした。タミは、震えながら、冬の川の水に濡れた衣服を着替えました。