ある日、コウは乳歯が虫歯になり歯茎が腫れました。
タミに連れられて歯医者さんに行き、腫れがひいてから、
膿を出して歯を抜きました。
タミはコウに、「痛いのを我慢したら帰りに美味しい
のを食べて帰るよ」と言いました。
コウは、抜歯の痛みを我慢して、涙が出ても泣き声は
出しませんでした。
コウは、抜歯した次の日から歯磨きをまじめにする
ようになりました。
   通院の帰りに、二人は食堂でラーメンを食べました。
でも、コウは、思いました。自分の家で食べる「しなそば」

の方が美味しいと。
寒い季節になると、コウの家ではダダとタミが、協力して

4人分の「しなそば」を作りました。
それは、北海道のおじさんからの昆布とシードおじいちゃ

の煮干しとダダの畑から取れたにんじんで出汁を取っ

すばらしい香りのスープでした。
四人で食べる夜は一番の幸せなひとときでした。