2019年02月08日 - 第6章 就職そして逝去[Work&Death] コウは、仕事で高い山の中腹に上り、日が落ちた麓の盆地を見下ろしていました。帳の落ちた街の灯は、コウの胸を締めつけ、人恋しくさせました。コウは、その灯の一つ一つに人の営みと喜怒哀楽を感じました。 なぜ自分はここに一人立ってそれを見つめているのかと問いかけました。 この仕事をやめれば、あの灯の中に明日からでも飛び込んでいけるのに。でも、その後どうするのだ。働かなければ、絵を描くための画材は買えないし、時間も得られないというのに。自分には、絵を描くという長い長い夢があるというのに。 そしてコウは、この自然の美しさと人の生活の思いを絵にしなければと強く思ったのでした。