第6章 就職そして逝去 エピソード20 お墓参り [第6章 就職そして逝去[Work&Death]]
ろうそくと線香に火を付けながら、長男のレイがヨシに
尋ねました。
「ねえ、お父さん。コウおじさんて子供のときはどんな
「ねえ、お父さん。コウおじさんて子供のときはどんな
子供だったの?」
ヨシは、墓地から見える海の方を見ながらゆっくりと
答えました。
「泣いてばかりいる子供だったよ。赤ちゃんのときは、
おばあちゃんを探して泣いてばかりいたそうだし、
ヨシは、墓地から見える海の方を見ながらゆっくりと
答えました。
「泣いてばかりいる子供だったよ。赤ちゃんのときは、
おばあちゃんを探して泣いてばかりいたそうだし、
おじいちゃんと三人で薪拾いに行ったときは、波にさらわれた
お父さんが泣いたけど、帰り道二人で手をつないで帰った
ときは、コウだけがずっと泣いていたそうだ。
それから、シードおじいちゃんの家のお風呂場でお父さんの
それから、シードおじいちゃんの家のお風呂場でお父さんの
足に釘が刺さったときも、コウのほうがずっと泣いていたらしい。
いつも、ほかの人のために泣いていたのかな。」
いつも、ほかの人のために泣いていたのかな。」
車椅子のダダは、静かにタミとコウと生まれてすぐに
亡くなった娘の墓を見続けていました。
末っ子のユカが言いました。
「でも、おじちゃんは心がきれいな人だった。大人になっても
純粋なまま生きてこられて、幸せだったんじゃないかな。」
「そうだな。アパートに残された、たくさんの絵を見れば
「そうだな。アパートに残された、たくさんの絵を見れば
分かるよな。あの絵を家に飾ろう。クローバーの里の
小さな家に。」
とヨシが言いました。家族たちは、小さくうなずきました。
あの絵を飾ろう!^ ^
by 小松達也 (2019-07-12 22:30)