3月11日の津波の後、コウは仕事が休みのときにコツコツと実家の庭や畑の片づけをしました。というのは、コウは花や果樹を育てるのが好きだったので、実家の庭に栗やキウイなどを植えていました。また、父親の畑の一部にユリ等を植えたり、小さな温室で蘭やサボテンを育てたりもしていたのです。

 しかし、津波の泥水と塩分で庭の植物は衰弱してしまいました。ざくろの幼木は成長が止まってしまいました。






ある日の日没、汚れたソーラーライトやゴミを集積した場所を片づけていました。庭に立てていたソーラーライトも泥水に汚れて見すぼらしくなっていました。

早く片づけてアパートに帰ろうと仕分していると、一本のソーラーライトが光を放っていました。

 まだ、「充電が生きていた」と考えながら、思わず近くにあった長い鉄のパイプにとがった先を固定しました。そして、家の窓の近くの地面に挿しました。見上げたソーラーライトは窓ガラスに反射して2個有るように見え、藍色の空に燦然と輝きました。

すると、コウの眼には涙がにじんできて・・・思わず、

「・・・おじいちゃん」

とつぶやきました。






脳裏に、子供のとき母方のシードおじいちゃんの家で、夜に見た電球のまぶしさと頼もしさが蘇りました。